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コーデを変化させて新鮮な気分に

藤原 綾さんフリーエディター/ライター
藤原 綾さん

フリーエディター/ライター。
出版社での女性誌編集部を経て、2007年にフリーの編集者として独立。
以後、『sweet』や『SPRiNG』などの女性誌、コレクションブランドからストリートブランドのムック本やカタログのビジュアル制作を手掛けるなど幅広いジャンルで活動中。手掛けた作品は数百冊に及ぶ。

実はめちゃくちゃ使えるサロペット!コーデを変化させて新鮮な気分に

「着る」という毎日の行為が、義務的なものではなく、ワクワクするものになると、ちょっとした所作が美しくなったり、モチベーションがあがったり、一日に変化が訪れます。
でも最近、「何を着ればいいのかわからない」という声をよく耳にするようになりました。

洋服や小物たちは日々にも自分にも彩りを与えてくれるもの。
それがストレスになるなんてもったいない!
「何を着たいか」は、人それぞれ違うので正解はありません。このコラムがファッションを「どう楽しめばいいか」のヒントになれば嬉しいです。

さて、記念すべき第1回目に取り上げるアイテムは、ドゥルドゥルドゥルドゥル……じゃーん!「サロペット」です!
もともと農作業を行うための着衣として生まれていることもあって、ラフでカジュアル度もだいぶ高め。一見コーディネートが難しいように見えますが、どんなトップスでもすんなりハマる吸収力の高いアイテムです。

何かと便利なので、素材を変えて春夏用と秋冬用に1本ずつ用意しておきたいところ。定番化しているブランドも多いので、しっくりくるシルエットに出会えたら、次のシーズンもぜひチェックを。特に春夏は汗を吸収してくれて爽やかな着心地のコットン、秋冬は保温性に優れたぬくもりたっぷりのコーデュロイがおすすめです。

と、その前に。
そもそもサロペットとはなんぞやと。“つなぎ”市場は、サロペット、オーバーオール、オールインワン、ジャンプスーツ、コンビネゾン、ロンパース……、英語もフランス語も和製英語も入り乱れてのカオス状態。きちんと使い分けられている人は、意外と少ないのでは?

「ダンガリー素材のオーバーオールをサロペットと呼ぶ」
「背中の布があるのがオーバーオール、ないのがサロペット」
「無骨なのがオーバーオール、フェミニンなのがサロペット」

……と諸説あるのですが、そもそも英語のオーバーオールとフランス語のサロペットは同じ意味。
ファッション誌が英語やフランス語を記事に取り入れた結果、同じアイテムに異なる名称がついて、それぞれふんわりとした意味を持った、という感じでしょうか。

よくわからないときは、便利な和製英語「オールインワン」があるじゃないか! と思いつつ、やはり胸当てや肩紐の存在を考えると、サロペットと呼ばずにはいられません。

ちなみに、サロペットは作業着がもとになっていますが、ジャンプスーツはパラシュート部隊の制服が起源。ジャンパー(落下傘部隊)のスーツだから、ジャンプスーツというわけですね。

服を選ぶとき、デザインや自分に似合うかどうかはもちろん大切ですが、その服の背景や起源にも考えを巡らせると、ファッションがより面白くなります。

サロペットの大人の着こなし、
トップスは何を選ぶ?

ではでは、サロペットのコーディネートを見ていきましょう。
スタイリングのキモは、何といってもレイヤード。
INに合わせるトップス次第で雰囲気がガラッと変わる上に着回し力も高く、いろいろなコーディネートを楽しみたい人は、かなり使えると思います。

フロントジップ
コーデュロイ サロペット
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フロントジップ
オールインワン
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タイトなトップスで下半身をカバー

タイトなトップスで下半身をカバー

上半身は細いのに、下半身はボリュームがあるという日本人体型にサロペットはうってつけ。気になる部分は隠して、自信のある部分を強調することで、見えない部分も細く見える魔法(詐欺?)のようなスタイリングです。

サロペットはジャストより少し大きめのサイズを選んで、フィット感のあるトップスを。華奢な女の子がぶかぶかの服を着たときの小動物的な可愛さを投入しておきましょう。見えそうで見えないサイドの絶妙な隙間が大事。時にはあざとさも必要です。

セクシーさは出さないためにも、トップスの首元はタートル&ハイネックをチョイス。サロペットのリラックス感が抑えられて上品に着こなせます。胸当て部分のスクエアとのバランスも◎。

足元はボリュームのあるものを合わせればメンズライクに、パンプスを合わせると柔らかいニュアンスが加わります。マーチンのような重めのブーツやドレスシューズを選ぶと、重心が下がって、よりメリハリのきいたシルエットが楽しめます。

ジョンスメドレー CATKIN SWEATER
ドクターマーチン 101 YS 6 EYEBOOT
ドクターマーチン ブローグシューズ

普段のシャツスタイルが変わる!

普段のシャツスタイルが変わる!

スタイリングをするとき、同じテイストのアイテム同士をぶつけてしまいがちですが、あえてテイストの違うものを組み合わせることで、コーディネートに新たな表情が生まれます。

例えば、カチッとしたシャツには、ミモレ丈のスカートやプレスのきいたパンツを選びがちです。ちょっとカジュアルに転ばせて、デニムを選ぶこともあるかもしれませんが、いつものコーディネートとさほど変わらないのでは?

そこで、新たなボトムの選択肢としてサロペットが活きていきます。ラフで元気なニュアンスが加わって、いつも着ているシャツが違った印象に見えてくるはず。
全体の色合いをシックにまとめて、足元に品を感じるフラットシューズを合わせることで、本来の清潔感はそのままに、遊び心を感じるコーディネートに仕上がります。

いつも同じ格好をしている気がする、コーディネートのバリエーションが少ないと感じている人こそ、ぜひワードローブにサロペットを。

ポロ ラルフローレン オックスフォードシャツ
トドス BICOLOR FLAT PUMPS
レペット サンドリヨン

ブラウスの甘さを前向きにマイナス

ブラウスの甘さを前向きにマイナス

フリル、パフスリーブ、ギャザー、レース……乙女心をくすぐる愛らしいディテールたち。うっかり手が伸びてしまう気持ちも、とってもよくわかります。でも、その手のアイテムばかりを選んでいると、気づくと甘さどっぷりのこてこてコーデになっていることも。

振り切ってそれを楽しめればいいのですが、スタイリングしづらくなっているようであれば、甘さを吸収してくれるアイテムが必要です。もちろんパンツでも効果的ですが、サロペットだと胸元を隠してくれる分、より甘さが抑えられます。

また、柔らかいニュアンスのあるサロペットなら、甘いブラウスにもすんなりなじんでくれるはず。サロペット自体に甘さがほぼないので、足元もパンプスで問題なし! バランスがいいブラウススタイルが完成します。

お買い物をするとき、アイテムの可愛さだけで選んでいると、どうしても同じようなものばかりが増えていくことに。スタイリングのことも考えて、普段とは少し違うアイテムにも挑戦を。

ナチュ&ダイアリー プルオーバーブラウス
クラークス グレイス エバ

時には、どカジュアルで真っ向勝負!

時には、どカジュアルで真っ向勝負!

作業着ならではの動きやすさと肩の力が抜けるラフさ。このサロペット最大の魅力を活かして、とことんボーイッシュに仕上げるのもOK。

ボーダーシャツというカジュアルど真ん中のアイテムを合わせつつ、全体も白でまとめて爽やかさをアピール。動きやすさ重視のシチュエーションで活躍します。

デニムのオーバーオールだとハマりすぎてしまうので、あえてアイボリーのサロペットを選び、絶妙なさじ加減でふんわり優しいニュアンスを添えるのがポイント。

足元も、スニーカーかTevaなどのスポーツサンダルを。とどめのキャップでボーイッシュ感に拍車をかけて、あくまでも全身でアクティブな印象を作ります。

セントジェームス メリディアン モダン
アディダス オリジナルス スタンスミス W
TEVA ハリケーン XLT 2
HUF グレイス エッセンシャルオージーロゴ

ということで、4種類のスタイリングを解説しましたが、結局何が言いたいかというと、
「サロペット、めっちゃ使えます!」ということ。
普段のスタイルを何か変えたいんだけど、何を変えていいのかわからない!
と悩んでいる方は、トップス、ボトムス、ワンピースに次ぐワードローブの一員として迎え入れてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、ウエストを一切締め付けないので、一度着るとヤミツキになる人続出。これに慣れすぎると、普段のパンツが入らなくなる可能性があるのでご注意を。

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