vol.24

藤原 綾さんフリーエディター/ライター
藤原 綾さん

フリーエディター/ライター。
出版社での女性誌編集部を経て、2007年にフリーの編集者として独立。
以後、『sweet』や『SPRiNG』などの女性誌、コレクションブランドからストリートブランドのムック本や
カタログのビジュアル制作を手掛けるなど幅広いジャンルで活動中。手掛けた作品は数百冊に及ぶ。

自分も客人も気分高まるワンランク上のディフューザー

去年はコロナの影響もあって、外で人に会えない分、少人数でホームパーティというか、おうちご飯をする機会が結構ありました。普段、外で遊んでいても、家には行ったことがない友達の家に初めて行く時って、なんか楽しくないですか?
特に、ファッション関係のお友達の部屋は見ているだけでも高まります。置いてあるものひとつひとつ気になるものばかりだし、穴場のヴィンテージショップや知らなかったインテリアブランドを知る機会にもなってすごく刺激的。目に入るもの全ておしゃれじゃないと気がすまん! って感じが伝わってきて最高です。
海外で手に入れたというものも多く、ここにしかない空間が広がっていて、仕事でのスタイリングとは違って、その人となりを映すというか。
帰る時には、自分の部屋もああしたい、こうしたいと妄想がむくむく膨らんでいきます。

ルームフレグランスの並ぶ店内 bild: Matt Simon, flickr.com, CC BY 2.0

ファーストインプレッションは、部屋に入った時の香り。
扉を開けた瞬間、ふわぁ〜っと澄んだいい香りが漂ってくると、「お!」と敏感に反応しちゃいます。空気がクリーンだからこそ香りが立ってくるので、掃除がいき届いていることも伝わります。
料理をしているわけでもないのに、突然、生活臭がすると、自分のことは棚に上げてやっぱりテンションは少し下がっちゃいますよね。

いまだにブルガリのプールオムが香ると思い出してしまう顔がある、といったように、香りには記憶を呼び起こす作用があります。
ある友人は、いつも同じサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリを使っているので、扉を開けてこの香りが漂うと、この子に家に来たなあとしみじみ実感します。
新宿にスタイリストさんがオーナーをしているハウススタジオがあるのですが、そこの香りのセンスたるや。香木を焚いていて、深みがある複雑でめちゃくちゃ洒落た香りがします。行くたびに気になって仕方ありません。

私自身はずっと香りジプシーで、これでいく! という香りにまだ出会えずにいます。 夜だったらムスク系のキャンドルがいいし、ヨガならエキゾチックなインセンスがいいし、晴れた朝はレモングラスのアロマオイルがいいし、気分を変えたい時は即効性のあるルームスプレーがいいと気分で変わってしまうので、いつも包まれていたい自分らしい香りがよくわかりません。
ただ、ディフューザーやポプリのように、ずっと香りを漂わせるものについては、いい加減自分の定番を決めたいと常々思っています。
そこで今回は、香り、中でもディフューザーをピックアップしてみたいと思います。

香りも見た目も贅沢な気分に包まれるとっておきのディフューザー4選

今、玄関に置いているのは、頂き物のロージー・リングスのディフューザーです。本物の花々やドライフルーツ、スパイスなどが入っていて、穏やかで自然な香り。これもとても気に入っているのですが、そろそろ香りが寂しくなってきた頃。
次に手に入れようと悩んでいる4つのブランドをご紹介がてら、一緒に悩んでいただければと思います。

1.ドットール・ヴラニエス

まずはイタリア、フィレンツェ生まれの定番、ドットール・ヴラニエスのディフューザー。インテリアショップなどで使われているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか? 赤ワインをモチーフにしたドット・ノービレはリピーターも多く、私も以前使用していた経験があります。特に、デキャンタの形をしたボトルに、葡萄の枝をリードスティックとして使用した750mLは憧れの的です。ベリー系の香りで、私にはちょっと甘すぎたので結局リピートしませんでしたが、別の香りは試したことがないので、やっぱり気になる存在です。
フィレンツェのラボでひとつひとつ丁寧に作られたという香りの質は言わずもがな。ホテルライクな香りに包まれて、上質な気分が味わえます。ドゥオモ(大聖堂)の屋根をかたどったガラスボトルは、置いておくだけで周りの空気感まで洗練された印象に。使いやすい大きさの250mLは、初ドットールに最適な逸品です。 ドットールの中で、次の香り、次の香りとジプシーをしている人も多く、ブランドに対する信頼が感じられます。

ドットール・ヴラニエス ディフューザー 250ml
ドットール・ヴラニエス
ディフューザー 250ml

2.ラボラトリオ・オルファティーボ

こちらもイタリアから生まれたブランドで、ラボラトリオ・オルファティーボとは「香りの実験室」という意味。
大量生産に疑問を呈した世界中のパフューマーが集まって、金儲けのためのマーケティングによって作られた香りへのアンチテーゼの意味も込めて、自分の感性と創造力だけで芸術的な香りを作り上げることを目的に生まれたフレグランスプロジェクトです。
派手な広告やブランド戦略とは一線を引いていて、この香りを愛してくれる人に愛してもらえればいいという考え。調香師の名前をブランド名に冠したドットール・ヴラニエスとは異なり、それぞれの香りで調香師が変わります。
そんなブランドの特性から、こういう香りが強いブランド、というものはなく、それぞれがまったく異なるオリジナリティあふれる香りです。
フレグランスをメインにしたブランドですが、その思いはディフューザーでも味わえます。白い花という意味のビアンコフィオーレは、白い花々で構成されたフローラルノート。座禅から着想を得たゼンゼロは、深いリラックス感を与えてくれるスパイシーなウッディノートと、個性的な香りが揃います。

ラボラトリオ・オルファティーボ ディフューザー 200ml
ラボラトリオ・オルファティーボ
ディフューザー 200ml

3.アッカパッカ

続いてもイタリアはトレヴィーゾから、ヘアブラシからスタートしたというアッカパッカのディフューザーです。こちらのブランドは歴史が深く、1869年の創業。
美しさを生み出すという観点から派生し、今ではブラシ類はもちろん、フレグランスやヘア&ボディケア、ホームケア製品まで扱うブランドとして認知されていて、三つ星ホテルやファーストクラスのアメニティにも使われています。
ライフスタイルアイテムのモットーは、飾らず、上質であること。シンプルなデザインで高品質、そして天然素材を使用するという創業時に掲げた3つの理念をきちんと引き継いでいます。
中でも、ホワイトモスはアッカパッカのヒット作。以前から、感度の高いライフスタイル誌には取り上げられてきましたが、芸能人に愛用者が多いことで一気に火がつき、一時は品薄状態になったほど。ラベンダーと西洋ビャクシンをミックスし、官能的でありながら洗練されたムスクが織りなすウッディフローラルに仕上がっています。甘いけど、知性的という一見相反するようにも思えるイメージを見事に融合した逸品です。
ホワイトモスのシリーズは、フレグランスやディフューザーだけでなく、シャンプーやボディクリーム、デオスプレーに柔軟剤……と、ラインナップが豊富なので、すべてをホワイトモスで揃えるのもあり!

アッカカッパ ホワイトモス ディフューザー250ml
アッカカッパ
ホワイトモス ディフューザー250ml

4.リナーリ

最後は、ドイツのラグジュアリーフレグランスブランドのリナーリ。ドイツ発祥ではありますが、ブランド名の由来はイタリアの小さな町で、製品それぞれイタリアにちなんだ名前がつけられています。
2003年のデビューからわずか数年で海外進出を果たし、今では50か国以上で展開されるほどに。タイムレスなデザインと豊潤な香りが人気で、高級ホテルや王室で使われていることでも有名です。香りとデザインを通して、心で楽しむことを大事にしていて、贅沢で上質な香料から数々の香りを生み出しています。
ちなみに、3リットルという大きなグランデッツァスペリオーレは82,500円也。お値段もゴージャスですが、それでもリピーターが後をたちません。
500mLのルームディフューザーは、寝室やリビングに。香りに合わせてイタリアンガラスのボトルも変わります。この贅を尽くした細やかなこだわりが、ファンから愛され続ける理由のひとつ。このディフューザーを置いた空間全体をコーディネートするのも楽しいひと時になりそうです。

リナーリ ルームディフューザー 500ml
リナーリ
ルームディフューザー 500ml

さてさて、今回は私のお買い物に付き合っていただき、ディフューザーをご紹介しましたが、気になるアイテムは見つかりましたか?
私は書き連ねていて、ラボラトリオ・オルファティーボの個性的な香りの中から自分にしっくりくるものを探していこうかなという気になってきました。
2022年は、美しい香りに似合うお部屋づくりが目標。おうち時間をもっと豊かに、おもてなしをもっと楽しく、ライフスタイルを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

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