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カーハート

2020.6.7

今こそ大人も履くべき
ドクターマーチンのサンダル

メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド 〜メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

大人=ロック、若者=韓流

パンク・ロック系サブカルオヤジであるアラフィフの私にとって、ドクターマーチンは特別な履き物です。
憧れだったマーチンの8ホールブーツを初めて買ったのは、バイト代で懐が潤った大学一年生のとき。以来30年以上にわたり、靴箱の中には常にドクターマーチンのブーツやシューズがあります。
自分のアイデンティティを表すようなスペシャルブランド、それが私のドクターマーチン観です。

ドクターマーチンは、私個人にとってはエバーグリーンですが、世間的に見ると激しい流行り廃りに晒されてきたブランドです。
特に今世紀に入った頃から、カビ臭い過去のブランドととらえられる気配が漂いました。
しかしあれは何年前だったでしょうか。
突如ドクターマーチンのリバイバルブームが巻き起こり、定番のブーツやレザーシューズが今時の若者の足元を飾るようになりました。

そんな状況を、私はとても嬉しく思いました。
やはり本当に良いものは世代を超えて受け入れられるのだと、ある種の感慨を持って見ていたのです。
彼ら若者も、根底に流れるロックカルチャーを感じながら、ドクターマーチンを楽しんでいるように見えました。

しかし最近になって人気が沸騰しているドクターマーチンのサンダルは、必ずしも従来のロック文脈の上に立ってはいません。
どうやら、流行りの韓流ファッションの一環と認識されているようです。
存在感があるドクターマーチンサンダルは、まず韓流のアーティストやそのフォロワーがピックアップしました。
そのスタイルはインスタグラムなどのSNSで拡散し、若者の間でヒット商品になったのです。

ドクターマーチンのサンダルを履く若者

「ドクターマーチンといえばパンクでしょ、ロックでしょ」という上の世代の呪縛から解き放たれ、ドクターマーチンは今、より自由なイメージでブレイクしています。

そんなドクターマーチンのサンダルは、今こそ大人も履くべきではないかと私は思っています。

なぜロック系と呼ばれたのか

若者にとっては韓流のイメージが強まってきたドクターマーチンですが、我々のような大人はなぜ“ロックな靴”と認識してきたのか。
歴史をひも解きながら考えてみましょう。

ドクターマーチンのシューズを世に送り出したのは、靴の聖地であるイギリス・ノーザンプトンで1901年から靴づくりをするR.グリックス社。
耐久性の高い作業用と軍用の靴メーカーとして知られていた同社が、「1460」のコードをつけてドクターマーチンブランドの8ホールブーツを発売したのは、1960年のことです。

ドクターマーチン最大の特徴であるエアークッションソールは、R.グリックス社の独自開発ではなく、クラウス・マルテンというドイツ人医師が考案したものでした。
従軍医師であったマルテンは1945年、スキーで負傷した足の治療中、傷の痛みを和らげる靴底を作れないかと考えました。硬いレザーソールの軍支給ブーツでは、歩行時にどうしても痛みが走るからです。
そして友人のヘルベルト・フンク医師とともに、古タイヤを加工して空気を封入するなど試行錯誤し、PVCを原材料としたエアークッションソールの開発に成功します。
マルテンとフンクは、「バウンシングソール」と名付けたこの画期的な靴底を使ったリハビリ靴の事業を開始。しかし当時のドイツ国内には十分な製靴技術と販売網がなかったので、彼らはバウンシングソールを使った一般向け靴の製造販売権を、イギリスのR.グリックス社に売り込んだというわけです。

ドクターマーチンの歴史

バウンシングソールを施した最初のドクターマーチンブーツ「1460」は、郵便配達人や警察官、工場労働者などに向けた実用本位の作業靴でした。
しかし1960年代後半、モッズから発展したワーキングクラス層の若者集団スキンヘッズが、ファッションの一つとして用いるようになります。
そして1970年代には、折からのパンクムーブメントによって増殖したパンクスの中にもドクターマーチンブーツの愛用者が多く見られるようになりました。

元祖・ハイテクソール

以降、ドクターマーチンはUKロックカルチャーを象徴するアイテムとして、一般層の間でも爆発的にヒットします。
1980年代に入ると日本でも、“ロックな靴”として不動の地位を獲得。
1990年代にもそのイメージは継続し、グランジやフェス文化の盛り上がりとともに、音楽ファンに愛され続けました。

以上が、私の大好きなドクターマーチンにまつわる、サブカル的蘊蓄小話です。

ドクターマーチンのブーツを履く男性

私は今でもドクターマーチンのシューズを履くとき、少なからず昔ながらのロックなイメージを追い求めます。
ですが、そんなロックだパンクだスキンヘッズだ、あるいは韓流だという七面倒くさい話はすべてすっ飛ばし、このドクターマーチンサンダルはより多くの人に履いていただきたいと思っています。
第一の理由は、履き心地が抜群にいいからです。

昨今、サンダルの世界は大きく進化しました。
ホールド力が高くて動きやすいスポーツサンダルや、快適極まる履き心地を実現させたリカバリーサンダルが支持を集め、トレンドになっています。
スポーツサンダルとリカバリーサンダルに共通するのは、優れたクッション性を備えた肉厚のソールを持っているという点です。

かつてサンダルは、あくまでも近所でつっかけるだけのサブ的な履き物でした。
楽なのはいいけど、ラフすぎて履き心地が悪く、本格的な外出に耐えうるようなものではなかったのです。
しかしソールの進化によって、長距離を歩け、アクティビティのお供にもなる高機能サンダルが続々と登場、注目されるようになりました。
今やサンダルは、立派なメインの履き物。デザイン性もどんどん進化し、コーディネートの主役になるアイテムとなっています。

サンダルが支持を集めるようになった最大の要因は、各メーカーがこだわり抜いて開発したハイテクソールを施したことでした。
そしてハイテクソールの元祖といえば、ドクターマーチンのバウンシングソール。
60年以上にわたって支持されてきたわけですから、その履き心地はそんじょそこらの新顔に負けるわけがないのです。

大人こそ履くべきDM’sサンダル

ドクターマーチンサンダルを大人におすすめしたいもうひとつの理由は、そのデザイン性です。
昨今トレンドになったリカバリーサンダルやスポーツサンダルは、デザインがどうしてもスポーツ系かアウトドア系に偏っています。
もちろんそういうテイストが好きな人には願ったり叶ったりだと思いますが、ドレッシーな大人っぽい着こなしを好む人にとっては、少々合わせづらいもの。
試してはみたたけれど、やっぱり深く愛せなかったという人も多いのではないでしょうか。

そんな人にこそおすすめしたいのが、ドクターマーチンサンダルなのです。
一日中履いても疲れないクッション性の高いソールと、動きやすいホールド力の高いアッパーを持っているという点は、トレンドのスポーツサンダルやリカバリーサンダルと共通していますが、明らかに違うのは全体の佇まい。
ブーツやレザーシューズといった重厚な履き物で時代を切り開いてきたドクターマーチンですから、サンダルといえども存在感抜群です。
落ち着いた大人カジュアルを追求する方には、ユニークでスタイリッシュ、そしてオーセンティックな雰囲気も併せ持つドクターマーチンサンダルが断然おすすめなのです。

私がドクターマーチンサンダルを履くとしたらどんな風にコーディネートをしたいか、考えてみました。
私の好み丸出しの一例ですが、タイトなポロシャツと、あまり色落ちしていないスキニーデニムに合わせたらかっこいいのではないかと思います。
かっちり目のボタンダウンシャツにショートパンツを合わせ、ソックスの上から履くのもオシャレではないでしょうか。

逆に大人が決してやってはいけないのが、ルーズフィットな韓流っぽいファッションに合わせることです。
若者の間ではそうしたコーディネートが主流ですが、大人がやると無理して若いファッションにトライしているように見えてしまうからです。
あくまで超然とした態度で、「こちらは君たちが気づくずっと前から、ドクターマーチンの良さを知っていたんだ」という感じで、履きこなしたいですね。

ドクターマーチンロゴ

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