津軽塗(つがるぬり)は青森県弘前市を中心に製作販売される青森県を代表する伝統的工芸品です。 縄文遺跡からも出土する漆器に見られるように、人類が文明を築いて以来、最も長く利用してきた 植物性原料のひとつにあげられるのが「漆」です。 漆器は、日本人の暮らしに欠かすことのできない、大切な日用品であり、芸術品なのです。 |
津軽塗とは |
「津軽塗」の正確な定義というものは存在しませんが、一般的には津軽地方で生産される伝統漆器の総称とされています。津軽塗という言葉が生まれたのは明治六年(1873年)、ウィーン万国博覧会に漆器を展示することとなった際、その産地を明らかにするため名付けられたことからと言われています。津軽地方における漆器産業としての伝統はさらに古く、江戸時代中期にさかのぼることができます。 |
4つの技法 |
津軽塗には代表的な4つの技法があり、漆工技術の分類では「研ぎ出し変わり塗り」と言われ、津軽塗の最も大きな特徴と言えます。 塗っては研ぐという大変手間のかかる技法は、40数回の工程と2ヶ月以上の日数を費やして仕上げられます。非常に耐久性があり、津軽塗はよく「堅牢」という言葉で評されます。 |
「津軽塗」代表的な4つの技法 |
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「津軽のバカ塗り」の異名を持つ 唐塗(からぬり) 津軽塗の代表格とされるのが唐塗(からぬり)である。 唐塗独特の複雑な斑点模様は、何度も塗っては乾かし、そして研ぐという作業を繰り返し、 全部で四十八の工程から生み出される。 完成までには最低でも一ヶ月半〜二ヶ月を要する。 仕掛けベラという特殊なヘラで凹凸のある斑点模様を施した後に、色漆の塗り、磨きを繰り返すことで、漆の層が多様な色合いの模様となって現れる。 その大変丁寧な技法から「津軽のバカ塗り」とも呼ばれている |
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菜の花の種で模様を表現 七々子塗(ななこぬり) 七々子塗は丸い点々のような小さな模様が特徴。菜の花の種を蒔き付けた跡が模様となって現れる。種が小さな輪紋となり、魚の卵を連想させることから「魚子」「菜々子」などとも呼ばれる。 |
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津軽塗ならではの最も独特な技法 紋紗塗(もんしゃぬり) 黒漆の模様(多くは線描を主にした総模様)に紗(津軽地方ではもみ殻のことを紗と呼ぶ)の炭粉を蒔き、 研ぎ出して磨き仕上げされたものを紋紗塗と呼ぶ。 紋紗塗は研ぎ出し技法の中で最も独特なもので、津軽塗ならではの塗であると言える。 |
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もっとも新しく、もっとも希少な 錦塗(にしきぬり) 七々子塗をベースに模様の筆描きなどを重ねた、華やかな印象の錦塗り。 作成のためには非常に手間がかかり、さらに高度な技術を要する。 そのため現在、錦塗を塗り上げれる津軽塗職人はごくわずかしかいないという。そのため製品も少なく、非常に価値が高い。 錦塗は、津軽塗四技法の中では最も新しく、 華やかな金や銀の蒔絵に憧れた庶民たちの思いが結集した、絢爛豪華な塗の技法である。 |
また、津軽塗は青森県唯一の、経済産業大臣指定伝統工芸品でもあります。 この制度の認可を得るためには、次の6点の要件を満たす必要があります。 |
経済産業大臣指定伝統工芸品 |
1. 工芸品であること。 2. 主として日常生活の用に供されているもの。 3. 製造過程の主要部分が手工業的であるもの。 4. 伝統的技術又は技法によって製造されるもの。 5. 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること。 6. 一定の地域で産地形成されていること。 |
1〜5までの要件は、青森県内の他の工芸品も十分に満たしています。 しかし6番目の要件を満たすのは、津軽塗のみです。この6番目の要件については、以下のように定義されています。 「一定の地域で、ある程度の規模の製造者があり、地域産業として成立していることが必要です。 ある程度の規模とは、10企業以上または30人以上が想定されています。個々の企業だけでなく、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があります。」 (出典:財団法人 伝統的工芸品産業振興協会) すなわち、青森県内の伝統工芸品の中で、産業として成立し業界が形成されているのは津軽塗だけ、ということになります。 事実、津軽塗は21世紀の現在においてもなお、青森県を代表する物産の一つとして、全国的に高い評価を得ています。 |
津軽塗 青森県漆器協同組合連合会 より引用 |
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