コラム

福井・中西昆布のふわっとしたおぼろ昆布の秘密「Oh! vegetables Oboro!」 2022年3月10日

さて、今回は福井県にある創業90年中西昆布さんの紹介になりますが、福井は、おぼろ昆布の生産量が全国シェアの大半をしめています。
三代目 中西伸治さんに、おぼろ昆布についていろいろと伺いました。
日本の昆布の普及は江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した北前船によるものですが、なぜ福井はおぼろ昆布なのでしょうか?また、どのようにしてつくられるのでしょう?

「北前船は福井の敦賀市に寄港し、この敦賀が本州における昆布の中心地として栄えました。おぼろ昆布は、薄く削る技術が必要で、福井には越前打刃物という農業用刃物の歴史があります。弊社はその専用の昆布包丁をつかって、醸造酢で漬け込んでやわらかくした真昆布を職人の技で一枚一枚ふわっと削り上げています」
昆布の厚みは約2〜3ミリ。それをなんと100分の1ミリに削ってしまうのです。
昆布職人になるのは、昆布の目利きだけではなくこういったことが必要だったのです。
中西昆布の先代中西正勝さんは京都でその伝統の削り方の技術を修行し、1932年(昭和7)に創業。
おぼろ昆布の美味しい食べ方は、おにぎり。このおぼろ昆布は北海道の真昆布を使用し、真昆布とは三大高級昆布(利尻、羅臼)のひとつで、函館沿岸で獲れ、出汁が透明で上品な風味があり、主張が少ない昆布と言われています。
うどんとの相性もよくおつゆのうま味も増し、ひとつまみあるだけで、食べた感が違います。
それから、なんといってもお吸い物。これは、ただお湯に入れてちょこっと醤油をたらすだけで、おいいしいです。
常備しておけば、あるときは焼いたお餅なんか入れて、お雑煮気分。

<昆布の豆知識>

ここで日本の昆布の豆知識。それは都道府県で主流の昆布が違うということです。
日本では昆布の90%が北海道で獲れますが、代表的な昆布は、利尻、羅臼、真昆布、日高、細目、長昆布など。

京料理は利尻昆布
大阪のバッテラ寿司は真昆布をつかい、出汁昆布と言えば、真昆布
関東のおでんは日高昆布
富山県は羅臼昆布
沖縄は、長昆布
中西昆布さんのある福井県は大阪と同じ真昆布

地方によって出汁昆布が違うのは、水の硬度との関係が深く、関東は中程度の硬水(ミネラル分が多く、口当たりが重く塩味や苦味を感じる)。関西はほとんど軟水(ミネラル分が少なく、口当たりが軽くまろやか)鰹節などが密接な関係になって、東日本は「鰹節文化」、京都・大阪、西日本は「昆布文化」。例えば京都で京料理(利尻)を修業した料理人が富山(羅臼)でお店を出してもなかなかうまくいかないとか、それは羅臼の出汁は鶏肉のブイヨンの味に似ているといわれ、利尻はクセのない香りでうま味が強い。ギャップありすぎ。また、とある京料理の料亭では、代が変わるときに、昆布の種類、鰹節の分量、湯の温度など出汁の再構築に時間をかけるそうだ。出汁が命。いやいや奥深い。

世界が、昆布に注目

昨今、ラーメン、カツカレー、ウイスキーの山崎が海外で認められていますが、いよいよ日本の昆布の番が来たぞ、次は昆布だと、私は予感しています。

なぜなら、海藻類は英語で「Sea weed」(海の雑草)ですが、最近、和食ブームもあってか、日本の昆布は世界の料理人たちに高級食材として特に注目され、海藻類を「Sea vegetables」と呼ぶ動きが世界で広まっているからです。追い討ちをかけているのは、日本の出汁のうま味(昆布:グルタミン酸、鰹節:イノシン酸、干し椎茸:グアニル酸)が、今や「UMAMI」と世界共通語であり、こんなことから、もはや海の雑草と呼ぶのは大変に失礼なことで、これは海の野菜なんだと、いずれ海外から観光客が来るようになったら、意識高い系はコンビニのおでんを見て「Oh!Sea vegetables Konbu!」と叫ぶことでしょう。また、こんなにふんわりしたおぼろ昆布を食べたら「Oh! vegetables Oboro!」だな。ミネラル補足食品、食物繊維に富みダイエット効果があるし、スピーディに料理ができますから、そのうち世界がよろこんぶ。(失礼しました)

出し汁といえばフランスのフォン、ブイヨン、イタリアのブロード、中国の湯(タン)などがあります。西洋の素材は仔牛や仔羊などの骨と肉、魚、野菜などバラエティ豊か。タンは鶏や豚の骨や肉、干貝は干アワビ、干エビが原料で、いずれも長い時間をかけて材料を煮ていきますが、日本の出汁は時間もかからずミステリアス。
一番出汁は、水に昆布を30分くらい漬け、その後中火にかけ、煮立つ直前に昆布を取り出すか、弱火で(お湯の温度を60℃程度に保ち)40分くらいかけて煮出す。昆布を取り出しお湯が煮立ったら、かつお節を入れ、一煮立ちしたらすぐに火を止め、灰汁(あく)をすくって取り除き、これで完了。日本の出汁はつくづくすごいと思います。
余談ながら(一社日本昆布協会)が昆布検定というインターネット上で行う試験があります。私3回目で合格しました。
あなたもいかがでしょうか?
これからは、昆布を知っているとモテる気がします。特に意味なく。
では、また。
文:松木直也

<商品情報>

商品名:福井 昆布ギフトセット
販売価格:3,990円(税込)
【特上白とろろ】
 昆布の表皮を取り除き、甘みの多い昆布の芯(白い部分)だけを使用した舌ざわりの良い「最高級とろろ昆布」です。
【太白おぼろ】
 甘みの多い昆布の芯(白い部分)だけを昆布職人が丹精込めて一枚一枚丁寧にふんわりと削り上げた「最高級おぼろ昆布」です。
【無添加とろろ】
 食品添加物を一切使用しておらず、昆布本来の甘みが引き立つように仕上げています。
【おにぎりとろろ】
 ご飯になじみやすいように昆布のベタつきを抑えてあります。化学調味料、保存着色料は一切使用しておりません。
【塩吹細切昆布】
 北海道産の良質な昆布を細く切り、独自の製法で炊き上げた味わい豊かな「塩こんぶ」です。

■出荷目安
 ご注文後、2営業日以内に発送致します。
 ※沖縄・一部離島は発送不可となります。予めご了承ください。

■内容量
【特上白とろろ】50g
【太白おぼろ】30g
【無添加とろろ】70g
【おにぎりとろろ】60g
【塩吹細切昆布】70g

■原材料
【特上白とろろ】昆布、醸造酢、調味料(アミノ酸等)、トレハロース、糊料(プルラン)
【太白おぼろ】昆布(北海道産)、醸造酢 【無添加とろろ】昆布、醸造酢、砂糖
【おにぎりとろろ】昆布、醸造酢、砂糖、りんご酢、食塩
【塩吹細切昆布】昆布、醤油、砂糖、調味料(アミノ酸等)、甘味料(甘草、ステビア)、酸味料

■賞味期限
 製造日より300日

■保存方法
 常温/直射日光、高温多湿のところは避けてください。

有限会社中西昆布
福井県福井市経田1丁目1313