コラム

噂の岐阜味噌「芋慶」の豆味噌はやっぱりウマかった。 2022年6月3日

岐阜県には「味噌菜三年身上つぶす」といういわれがあって、これは「味噌をおかずにするとご飯を2杯も3杯も食べてしまい、蓄えがなくなってしまう」ことらしい。これは特に飛騨地方の朴葉味噌のことなのだが、それだけ岐阜の味噌はおいしいと、私は受け止めた。

今回紹介する味噌たまり蔵元の「芋慶」は、岐阜で明治10年(1877年)の創業。今も昔から伝承されている味噌づくりを行なっている。

かつて岐阜の各集落には、必ず味噌づくりの道具一式があったそうだ。
つくり方は、資料によると、鉄の大釜にお湯をわかし、一晩水に浸しておいた大豆を入れて蒸す。煮豆は一夜、色付けし、翌日、足踏み式の唐臼(からうす)でつぶして、直径7センチから9センチくらいの味噌玉をつくり、これをむろに並べ、カビ付けをする。
それを今度は、石臼(いしうす)で細かく砕く。のち、大豆と同量の裸麦を半日ほど水に浸して蒸し、砕いた味噌玉と混ぜ、大豆10合に対し塩6〜7合、大豆と同量の水を加えてよく混ぜる。これらは味噌蔵に保存され、早くて1年後に食する。3年後から本当の味がしてくるそうだ。

ちなみに「たまり醤油」とは、仕込んで4ヶ月ぐらいして味噌からしみ出たもので、一番絞りはうま味が強く、その後2番、3番となるとうま味が落ちる。

しかし、「芋慶」のたまり醤油は、仕込んで1年は熟成発酵させて製造し、味噌とは別の工程となり、他にはない商品で人気も高い。

日本の味噌の種類

味噌には甘口、辛口といった味の違いや、白味噌、赤味噌の色の違いもあり、味と色は。麹や塩の配合割合、発酵、熟成の期間や温度などによって変わる。
赤色で辛口は、北海道、秋田、青森津軽、仙台、越後など。寒い北の国は赤色、辛口が多く、江戸味噌は赤色で甘みが強い。芋慶のような豆味噌は、中京地区の八丁味噌、名古屋味噌、三河味噌などが有名。東海豆味噌とも呼ばれ、味は濃厚で、色は黒っぽい。
さて、それではさっそく芋慶の味噌「芋次郎」を見てみよう。

正直、私、この色に驚きました。使用している大豆は、三重県産の「フクユタカ」という栽培期間中は、農薬や化学肥料を使用していない特別栽培のものです。塩にもこだわり、香川県のミネラル豊かな良質の塩を使用。
製法は、木桶でじっくり1年半以上熟成させた天然醸造の豆味噌。アミノ酸が豊富で栄養価が高く、うま味成分がたっぷり。
ほんのりとした味噌のにおいが食欲を刺激し、次に何をしたかとういうと、味噌にぎりをつくってしまいました。
こちらは一個目で、味噌を軽めに塗ってみましたが、しっかりとした味わいで、食べているうちにもう一個食べたくなり、今度は味噌を多めにしました。
味噌はこのぐらいでもいいです。塩っけが上品というか、カドがなく、大豆の甘い風味すら感じます。お番茶があるともっとよかった。

味噌で夏バテ防止

さて、もうじき夏、いやもう夏か?
あの強い日差し。暑くて何もする気にもならない。でも、仕事たんまりで忙しい。バテてしまうと食欲減退、これはイカんぞ、食欲減退は勤労意欲の低下にもつながり、「腹が減ってはいくさができぬ」。
よって今回はスタミナをつける、味噌料理。
まずなんといっても、朝の味噌汁をかかしてはいけません。具材はあるものでよし。後半にご飯をいれて、かけこむ。食欲がなくても味噌だと、なぜかおいしく食べられます。
それから休日のお昼には味噌ぞうすい。朝の残りの味噌汁に、残りのごはんを放りこんで少し煮る。ネギとたまごを忘れずに。

ニンニクの味噌漬け

続いて、バテた体に有効なのがニンニク。ニンニクは、人類の生活のなかに浸透して約6000年という長い歴史があり、ねぎ、たまねぎ、ニラ、らっきょうなどと比べ物にならないほど効き目があります。そこでニンニクの味噌漬けなんか簡単につくれますので、常備しておきましょう。

[つくり方]
1.20粒から30粒の皮をむいたニンニクを60秒ゆでる。のち冷水でしめて、水気をしっかり切る。
2.1/2カップの味噌、1/4カップの砂糖、小さじ2のお酢と醤油を混ぜあわせる。
3.1を2に漬け、寝かせて完成。2〜3日ぐらいから食べごろ。
国産のニンニク使用(鎌倉産14粒で300円)これはつくりたて、です。

6代目 木方 庸一朗 さん

ところで芋慶の味噌は、岐阜市内の学校給食に使われており、岐阜で育った人には小さいころから親しんできた味。美味しい味噌がある町は羨ましい限りです。

6代目はこう語ります。
「私たちは、味噌・醤油づくりに対する熱い思いはもちろん、地元に対しても熱い思いがあります。そのなかで味噌玉ワークショップという子どもたちと一緒に、保存食品にもなる味噌玉つくりを行ない、おいしい味噌汁をあじわってもらっています。
また、芋次郎は材料をメイド・イン・ジャパンにこだわり、「日本産」、「安全」、「おいしい」という3つの条件が揃った食品を認定する制度である「食の3重丸」に認定されました。
今後は、代々受け継がれている伝統の味を守るだけでなく、岐阜市ゆかりの織田信長にちなんだ商品の開発や販売や地産地消の取り組みなど、地域に根付いた活動を行なっていきたいと思います」

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとして「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビューを行う。
のち様々な企業誌の編集長を歴任。90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、 2000年より三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレッスン」は12年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラストメッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書房新社)がある。

<商品情報>

商品名:芋慶 天然醸造無添加「芋次郎」
販売価格:1,890円(税込)
■内容量
 500g

■原材料
 大豆(三重県産)(遺伝子組み換えでない)、食塩

■出荷目安
 ご注文後、5営業日前後で発送致します。

■保存方法
 冷蔵(0℃〜10℃)で保存してください。
 ※開封後はお早めにお召し上がり下さい。

■製造・販売元
 株式会社 芋慶
 〒500-8234
 岐阜市芋島2丁目2番22号